設立にあたっての声明書

   我々は、我が国日本の将来のあるべき姿を念頭におきながら、予てよりいかにして国民生活に貢献し、豊かにできるかを必死に考え、懸命に努力してきた。 去る3月11日に東日本大震災が起こり、国民が日々生きるための衣食住等の生活必需品を供給する製造・生産、流通、輸送といったライフラインの重要性が改めて認識されることとなった。特に、国民の生命と生活の維持に欠かせない衣食住等の必需品の安定した供給と流通の確保は、政府、行政、産業界、国民を問わず喫緊の課題となった。

   今を去る88年前、大正12年9月1日に首都東京は関東大震災に見舞われ、死者・行方不明者約14万人、被害総額200兆円を超え、東日本大震災を遥かに上回る大打撃を受けて壊滅した。
当時の日本の国力は、現在に比べ遥かに微弱なものであったが、震災後直ちに復興院を立上げその復興院総裁の決断と手腕により、次々と難問を解決し、 僅か6年余の短期間で見事に復興を果たした。さらに、復興のための増税など一切なく、大正末期から昭和初年にかけて、東京、横浜といった大都市を立派な近代都市に再建させた。

   一方、世界的な視点から、我が国日本の現状を顧みると、

  • 昭和43年に世界第2位の経済大国を達成した我が国は、42年間その地位を保持し、数々の国際貢献に寄与してきたが、高度成長を果たした成熟国家として、今後の国家100年の大計を政官民一体となって大いに議論すべきときではないか。
  • 国立人口問題研究所の推計によれば、40年後の人口は9,000万人台、90年後は5,000万人台との報告もあり、少子高齢化、人口減少を見据えた、これまでの社会制度や秩序の再構築が求められているのではないか。
  • 個人消費と市場の著しい減少と経済の落ち込みに対し、新しい産業、商品とマーケットの創造を通して国民生活の質を更に向上させることが求められているのではないか。
  • 東日本大震災と福島原子力発電所事故による放射能汚染と経済不振が重なり、生産の落ち込み、所得の減少、更にはこれらを遠因とする消費の減退から企業業績の悪化は避けられず、地球規模の資源、食糧の争奪、エネルギーコストの上昇等、企業及び国民の負担が増大し、国民生活の安全と安心が脅かされるのではないか。
  • 東日本大震災から9ヶ月を経過した今日にあっても、各地の余震は収束せず、政府の原子力政策に係る論議も不明のままである。さらに、関東、東海、南海等の大地震に対する備えも不十分なままで、国民の不安を解消し、安全を確保することはできるのか。

等の課題が立ちはだかっている。

   以上の我が国日本の実情は、我々が明治、大正、昭和、平成に至る今日迄の143年間の長きにわたり、御国任せ、御上頼りにしてきたことも一因であるが、残念ながら1億2,600万人の生活、生命を守るための組織団体が未だに存在していないことにも起因している。

   本連合会の使命は、国民の生活、生命を守ることである。この使命を達成する為には、政府、行政の政策運営に対し、一致団結して我々の考えを十二分に反映させるだけの発言力、提案力、そして実現力が必要である。

   世界規模で大変動が起こる今日にあって、我々には、将来の人口減少と市場縮小を見据えながら、現在の1億2,600万人の国民の生活、生命の維持に必要な生活必需品を何時如何なる時でも安全、 安定的に供給することが求められている。生産、製造、流通サービスの業界と消費者団体が一体となって、大いに研究、議論を尽くし、切磋琢磨して、国民生活の安全、安定の確保と質の向上、関連業界の健全な発展に寄与する為、本日、本連合会を設立するものである。

国民生活産業・消費者団体連合会